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西宮神社(Nishimiya Jinja)
歴史、ご利益、見どころ、アクセスを徹底解説
兵庫県西宮市に鎮座する西宮神社(にしのみやじんじゃ)は、全国に約3,500社ある「えびす神社」の総本社であり、福の神「えびす様」をお祀りする信仰の中心地です。地元では親しみを込めて「西宮のえべっさん」と呼ばれています。
毎年1月9日から11日にかけて行われる「十日えびす」は関西の冬の風物詩であり、特に10日の早朝に行われる「開門神事福男選び」は、全国的に有名です。商売繁盛の神様として、事業者や自営業者はもちろん、新たな門出を迎える人々や、活気ある日本の祭礼文化に触れたい国内外の観光客にとって、必見のパワースポットと言えるでしょう。
歴史と由緒 (History and Origins)
西宮神社の創建年代は平安時代以前に遡るとされ、明確な記録は残っていませんが、その起源は非常に古いと伝えられています。
伝説によれば、えびす様(蛭児大神)は、かつて神戸・和田岬の沖合で漁師の網にかかり、海から出現されました。その後、御神託(神のお告げ)により「西の方のよき宮地」を求め、この西宮の地に鎮座されたとされています。この地が「西宮」と呼ばれる由来の一つとも言われています。
平安時代にはすでに「えびす様」を祀る社として知られ、漁業の神、海の神として信仰を集めました。室町時代に入ると、商業の発展とともに「商売繁盛」の神様としての神格が強まり、京の都をはじめ全国にその信仰が広がりました。
戦国時代や江戸時代を通じて、時の権力者からも篤く崇敬されました。特に、現在の表大門(赤門)は、慶長9年(1604年)に豊臣秀頼によって寄進されたものであり、桃山建築の壮麗な姿を今に伝えています。
現在の本殿は昭和20年(1945年)の空襲により焼失しましたが、全国の崇敬者からの寄付により、昭和36年(1961年)に「三連春日造(さんれんかすがづくり)」という類例のない様式で再建され、えびす様への変わらぬ信仰の深さを示しています。
祀られている神様(祭神) (Enshrined Deities – Saijin)
- 第一殿(中央):西宮大神(にしのみやのおおかみ)= えびす様(蛭児大神 – ひるこのおおかみ)
- 七福神の一柱であり、主祭神です。「えびす様」は、伊弉諾尊(いざなぎのみこと)と伊弉冉尊(いざなみのみこと)の間に生まれた神(蛭児大神)とされています。
- ご利益: 商売繁盛、大漁満足、家内安全、開運招福。左手に鯛を抱え、右手に釣竿を持つお姿から、商売の「釣り手」と「買い手」の調和や、大漁(=利益)をもたらす福の神として篤く信仰されています。
- 第二殿(向かって右):天照大御神(あまてらすおおみかみ)
- 皇室の御祖神であり、日本国民の総氏神ともされる太陽の神様です。
- ご利益: 国家安泰、国土守護、開運。
- 第三殿(向かって左):素盞嗚大神(すさのおのおおかみ)
- 天照大御神の弟神であり、八岐大蛇(やまたのおろち)退治の神話で知られる勇猛な神様です。
- ご利益: 厄除け、疫病退散、農耕守護。
言い伝えと伝説 (Legends and Folklore)
西宮神社の「えびす様」にまつわる最も有名な行事が「十日えびす」です。このお祭りには、えびす様の神格を表すユニークな風習が残っています。
- えびす様は耳が遠い?
「えびす様は耳が遠い」という言い伝えがあります。そのため、十日えびす大祭の最終日(1月11日)の夕刻には「えびす様が帰りたくても耳が遠くて聞こえない」とされ、参拝者が本殿裏の銅鑼や太鼓を叩いて「えべっさん、頼みましたで!」と念を押し、神様をお送りする「残り福」の神事が行われます。 - 福男選び
1月10日の午前6時、表大門(赤門)が開かれると同時に、参拝者が本殿までの約230メートルを疾走する「開門神事福男選び」は、その年の福を授かろうとする熱い信仰の表れです。一番福から三番福までに選ばれた者は、その年に特に大きな福を授かると言われています。
見どころと境内案内 (Highlights and Precinct Guide)
広大な境内には、歴史的価値の高い建造物や、信仰の深さを感じられるスポットが数多く点在しています。
- 表大門(赤門)(国指定重要文化財)
前述の通り、豊臣秀頼が寄進した桃山建築の粋を伝える門。「福男選び」のスタート地点としてあまりにも有名です。その鮮やかな丹塗りは、参拝者を非日常の神域へと誘います。 - 大練塀(おおねりべい)(国指定重要文化財)
赤門の左右に続く、全長247メートルにも及ぶ長大な土塀。室町時代の建造と推定され、土と石灰、油を練り合わせて作られています。京の三十三間堂「太閤塀」、名古屋の熱田神宮「信長塀」と並び「日本三練塀」の一つに数えられます。 - 本殿と拝殿
三連春日造の本殿は壮麗で、その前に立つ拝殿も戦後に再建されたものですが、非常に大きく立派な造りです。商売繁盛を願う多くの人々が、ここで柏手を打ちます。 - 御朱印とお守り
社務所では、西宮神社の御朱印を拝受できます。また、「えびす様」の象徴である「鯛」をモチーフにしたおみくじ「鯛みくじ」や、商売繁盛、開運招福のお守りが多種多様に用意されています。
アクセス情報 (Access Information)
- 住所: 〒662-0974 兵庫県西宮市社家町1-17
- 公共交通機関:
- 阪神本線「西宮」駅 南口(えびす口)より 徒歩約5分
- JR神戸線「さくら夙川」駅 より 徒歩約10分
- JR神戸線「西宮」駅 より 徒歩約15分
- 阪急「夙川」駅 より 徒歩約15分
- 車でのアクセス:
- 阪神高速3号神戸線「西宮出口」よりすぐ
- 名神高速道路「西宮IC」より 約5分
- 駐車場: 境内に有料駐車場(約100台)あり。
※正月期間や「十日えびす」開催期間中は、境内の駐車場は閉鎖され、周辺道路で大規模な交通規制が敷かれます。公共交通機関をご利用ください。
周辺の観光・食事処 (Nearby Attractions and Dining)
西宮神社参拝の後は、歴史と文化が薫る周辺エリアの散策もおすすめです。
- 灘五郷(西宮郷・今津郷)
西宮は日本有数の酒どころ「灘五郷」の一部です。神社周辺や阪神西宮駅の南側には歴史ある酒蔵が点在し、「白鹿記念酒造博物館」などでは、酒造りの歴史見学や試飲、食事を楽しむことができます。 - エビスタ西宮
最寄りの阪神「西宮」駅直結の商業施設。飲食店やカフェ、ファッション、雑貨店が充実しており、参拝後の食事や休憩、お土産探しに便利です。 - 夙川河川敷緑地(夙川公園)
JRさくら夙川駅や阪急夙川駅方面に足を延ばせば、「さくら名所100選」にも選ばれた美しい公園が広がります。特に春の桜の時期は圧巻の景色です。 - 西宮市大谷記念美術館
夙川公園の近くにある美術館。フランス近代絵画や日本の近現代美術を収蔵し、緑豊かな庭園も魅力です。 - 甲子園球場
阪神電車で数駅の距離にある、高校野球や阪神タイガースで有名な球場。歴史館の見学も可能です。(※神社からは少し離れます)

