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春日大社(Kasuga Taisha)
藤原氏ゆかりの聖地と万燈籠。歴史、ご利益、アクセスを徹底解説
奈良県奈良市、御蓋山(みかさやま)の麓に鎮座する春日大社(かすがたいしゃ)は、全国に約3,000社ある春日神社の総本社です。
今から約1300年前、奈良に都(平城京)が置かれた時代に、国の繁栄と国民の幸福を願って創建されました。
平安時代に権勢を誇った藤原氏の氏神(うじがみ)としても知られ、朱塗りの鮮やかな社殿が立ち並ぶ荘厳な境内は「古都奈良の文化財」の一部として、ユネスコの世界遺産にも登録されています。
神様の使いとされる「鹿」が暮らす神聖な森、そして信者から奉納された約3,000基にもおよぶ「燈籠(とうろう)」が並ぶ幻想的な景観は、日本国内はもちろん、世界中の人々を魅了しています。
歴史と由緒 (History and Origins)
春日大社の創建は、奈良時代の神護景雲2年(768年)に遡ります。
当時の右大臣・藤原永手(ふじわらのながて)が、国の安泰と藤原氏一族の繁栄を祈るため、平城京の守護神として壮麗な社殿を造営したのが始まりです。
その際、藤原氏のルーツとゆかりの深い、茨城の鹿島神宮(武甕槌命)千葉の香取神宮(経津主命)、そして大阪の枚岡神社(天児屋根命・比売神)から、それぞれ神様をお迎え(勧請)しました。
平安時代以降、皇室や藤原氏の篤い崇敬を受け、伊勢神宮や石清水八幡宮とともに「三社」と称されるほど、国家鎮護の重要な神社として発展しました。
また、約20年に一度、社殿を造り替える「式年造替(しきねんぞうたい)」という制度が古くから行われており、これにより日本の伝統的な建築技術が今に伝えられています。
祀られている神様(祭神) (Enshrined Deities – Saijin)
春日大社では、四柱の神様を「春日大神(かすがのおおかみ)」として総称し、本殿(国宝)の四つの社殿にそれぞれお祀りしています。
- 第一殿:武甕槌命(たけみかづちのみこと)
鹿島神宮の御祭神。雷神・武神であり、厄除け・勝負運のご利益。 - 第二殿:経津主命(ふつぬしのみこと)
香取神宮の御祭神。剣の神・武神であり、厄除け・武芸上達のご利益。 - 第三殿:天児屋根命(あめのこやねのみこと)
藤原氏の祖神。祝詞(のりと)の神であり、言論・学業・芸能のご利益。 - 第四殿:比売神(ひめがみ)
天児屋根命の妃神。縁結び・夫婦和合・安産のご利益。
これら四柱の神様の御神徳をあわせ、国家安泰、家内安全、商売繁盛、交通安全など、人々のあらゆる営みをお守りくださる神様として信仰されています。
言い伝えと伝説 (Legends and Folklore)
【神鹿(しんろく)の伝説】
春日大社と「鹿」は、切っても切れない関係にあります。
神社の創建時、第一殿の御祭神である武甕槌命(たけみかづちのみこと)が、茨城の鹿島から白い鹿の背に乗って、御蓋山(みかさやま)の山頂に降り立ったと伝えられています。
この伝説から、奈良公園一帯に生息する鹿は「神様の使い(神鹿)」として古くから手厚く保護されてきました。奈良の鹿が人に慣れているのは、この長い信仰の歴史があるためです。
見どころと境内案内 (Highlights and Precinct Guide)
- 御本社(ごほんしゃ)【国宝】
「春日造(かすがづくり)」と呼ばれる、春日大社独特の建築様式で建てられた四棟の社殿が並び立ちます。 - 朱塗りの回廊と吊り燈籠(つりどうろう)
御本社の周囲を囲む回廊は、鮮やかな朱塗りが美しく、約1,000基の金色の「吊り燈籠」が下がる光景は圧巻です。 - 石燈籠(いしどうろう)
南門から御本社へ続く表参道や、境内一円には、武士や庶民から奉納された約2,000基もの「石燈籠」が立ち並びます。 - 万燈籠(まんとうろう)
毎年2月(節分)と8月(お盆)の夜に、これら約3,000基全ての燈籠に火を灯す神事「万燈籠」が行われ、境内は幻想的な光に包まれます。 - 夫婦大國社(めおとだいこくしゃ)
御本社の南側にある末社。日本で唯一、大國主命(おおくにぬしのみこと)と妃神・須勢理毘売命(すせりびめのみこと)を「ご夫婦」としてお祀りしており、縁結び・夫婦和合のパワースポットとして絶大な人気があります。ハート型の絵馬が有名です。 - 春日山原始林(かすがやまげんしりん)【世界遺産】
春日大社の東側に広がる、神域として古来より狩猟や伐採が禁じられてきた森。太古の自然の姿を今に伝える貴重な森で、神社と共に世界遺産に登録されています。
アクセス情報 (Access Information)
住所:〒630-8212 奈良県奈良市春日野町160
公共交通機関:
- JR大和路線・近鉄奈良線
- 「JR奈良駅」または「近鉄奈良駅」下車
- 駅前から奈良交通バス(春日大社本殿 行き)に乗車(約10~15分)、終点「春日大社本殿」下車すぐ。
- または、奈良交通バス(市内循環・外回り)に乗車、「春日大社表参道」下車、徒歩約10分。
車でのアクセス:
- 名阪国道 「天理IC」より約20分
- 駐車場:
- 春日大社 国営駐車場(有料)
- ご注意: 奈良公園周辺は、土日祝日や観光シーズン(特に春の桜、秋の紅葉)は終日、大変な混雑と交通規制が予想されます。公共交通機関の利用を強く推奨します。
周辺の観光・食事処 (Nearby Attractions and Dining)
- 奈良公園
春日大社が鎮座する広大な公園。神鹿(鹿)とのふれあい(鹿せんべいやり)が楽しめます。 - 東大寺(とうだいじ)
「奈良の大仏様」で世界的に有名な大寺院。春日大社から徒歩圏内(約15~20分)です。 - 興福寺(こうふくじ)
春日大社と同じく藤原氏ゆかりの寺院。五重塔(国宝)や、仏像の宝庫である「国宝館」は必見です。(近鉄奈良駅のすぐ近く) - ならまち
江戸時代の町家が残る、風情あるエリア。古民家を改装したカフェ、雑貨店、レストランが点在し、散策やランチに最適です。 - 春日荷茶屋(かすがにないぢゃや)
春日大社の参道(表参道)にある茶屋。万葉集にちなんだ「万葉粥(まんようがゆ)」が有名で、参拝後の休憩におすすめです。


