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大國魂神社(Ookunitama Jinja)

武蔵国の守り神、1900年の歴史と「くらやみ祭」を徹底解説

大國魂神社(Ōkunitama Jinja)は、かつての武蔵国(現在の東京都、埼玉県、神奈川県の一部)の中心地であった府中市に鎮座する、都内屈指の古社です。

約1900年という悠久の歴史を持ち、「武蔵総社(むさしそうじゃ)」として、この広大な地域の神々を合祀しています。

長い参道に続く美しいケヤキ並木は国の天然記念物に指定されており、都市の喧騒を忘れさせる静寂と威厳が漂います。厄除けや縁結びの神様として信仰を集めるほか、毎年5月に行われる関東三大奇祭の一つ「くらやみ祭」の舞台としても有名です。歴史好きからパワースポット巡りの方まで、東京を訪れるなら外せない聖地です。

 

歴史と由緒 (History and Origins)

大國魂神社の起源は、第12代景行天皇の時代、西暦111年(景行天皇41年)にまで遡ります。

社伝によれば、大國魂大神(おおくにたまのおおかみ)が武蔵国を開き、人々に衣食住の道を教えた功績を称えて祀ったのが始まりとされています。

  • 武蔵総社としての役割: 平安時代、各国の国府(役所)の近くには、その地域の主要な神社の神々を合わせて祀る「総社」が置かれました。大國魂神社は武蔵国の総社となり、「六所宮(ろくしょぐう)」とも呼ばれました。

  • 武将たちの崇敬: 鎌倉幕府を開いた源頼朝は、妻・北条政子の安産祈願を行い、その後も社殿の造営に尽力しました。また、徳川家康も関ヶ原の戦いや大坂の陣の戦勝祈願を行うなど、時の権力者たちから厚い保護を受けてきました。

 

祀られている神様(祭神) (Enshrined Deities)

【主祭神】

  • 大國魂大神(おおくにたまのおおかみ)
    • ご神徳: 縁結び、福徳円満、厄除け
      出雲大社の祭神である大国主神(おおくにぬしのかみ)と同じ神様とされています。多くの別名を持ち、国土経営、医療、まじない、夫婦和合など多岐にわたる力を持つ「福の神」です。

【相殿神(国内諸神)】

本殿の両側には、武蔵国の一之宮から六之宮までの神々が合祀されています。

  • 一之宮:小野大神(小野神社)
  • 二之宮:小河大神(二宮神社)
  • 三之宮:氷川大神(氷川神社)
  • 四之宮:秩父大神(秩父神社)
  • 五之宮:金佐奈大神(金鑚神社)
  • 六之宮:杉山大神(杉山神社)

ここを参拝することで、武蔵国(東京・埼玉・神奈川北東部)の主要な神社すべてをお参りしたのと同じご利益があるとされています。

 

言い伝えと伝説 (Legends and Folklore)

【大國魂神社の七不思議】

この神社には古くから伝わる「七不思議」があります。その中でも特に有名なのが「境内に松の木がない」という話です。

  • 「松は待つ」の伝説: かつて大國魂大神が八幡神と待ち合わせをした際、八幡神がなかなか現れず、大神は待ちぼうけを食らいました。そこで「待つのはつらい(松はつらい)」と言ったことから、境内の松の木がすべて枯れてしまい、以降、松を植えても育たなくなったと伝えられています。そのため、府中では正月の門松にも松を使わない習慣が一部で残っています。

 

見どころと境内案内 (Highlights and Precinct Guide)

  • 馬場大門のケヤキ並木(National Natural Monument):
    大鳥居へと続く約500メートルの参道には、樹齢数百年を超えるケヤキの巨木が立ち並びます。これは源頼朝や徳川家康が寄進したと伝わり、国の天然記念物に指定されている日本唯一のケヤキ並木です。

  • 随神門(Zuishinmon Gate):
    2011年に、御鎮座1900年記念事業として改築された立派な門です。国産ヒノキを使用しており、その圧倒的な存在感は必見です。

  • 本殿:
    現在の本殿は徳川4代将軍・家綱によって1667年に再建されたもので、東京都の有形文化財です。三つの社殿が横に連なる「三連社流造」という珍しい建築様式です。

  • くらやみ祭(Kurayami Matsuri):
    毎年4月30日から5月6日にかけて行われる例大祭。特に5月5日の夜、8基の神輿と6張の大太鼓が街を練り歩く様は圧巻です。かつては神聖な儀式を「見る」ことが許されず、明かりを消した暗闇の中で行われたことからこの名がつきました。

 

アクセス情報 (Access Information)

  • 住所:〒183-0023 東京都府中市宮町3-1
  • 公共交通機関(電車):
    • 京王線:府中駅(ふちゅうえき)」南口より徒歩5分(ケヤキ並木を通るルートがおすすめです)
    • JR南武線・武蔵野線:府中本町駅(ふちゅうほんまちえき)」より徒歩5分
  • 車でのアクセス:
    • 中央自動車道「稲城IC」から約10分、または「国立府中IC」から約10分
  • 駐車場:
    • あり
    • 参拝者用駐車場あり(約200台、有料ですが御祈祷を受ける場合は無料サービスあり)※祭礼時は利用不可となる場合があります。

 

周辺の観光・食事処 (Nearby Attractions and Dining)

  1. 府中市郷土の森博物館
    広大な敷地に、古い農家や商家などの歴史的建造物が移築・復元されているフィールドミュージアム。梅園や紫陽花の名所としても有名です。
  2. モナムール 清風堂
    明治元年創業の老舗和洋菓子店。神社のすぐ近くにあり、名物「武蔵野日誌」はお土産に最適です。2階にはイタリアンレストランも併設されています。
  3. 深大寺(じんだいじ)
    少し足(バスや車で約20分)を伸ばせば、奈良時代の仏像で有名な深大寺があります。名物の「深大寺そば」を楽しむのもおすすめです。

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