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専修寺(Senjuji)

三重県津市一身田(いしんでん)に構える専修寺(せんじゅじ)は、全国に600以上の寺院を持つ「真宗高田派」の本山です。地元では親しみを込めて「高田本山」と呼ばれています。

最大の特徴は、2017年に三重県内の建造物として初めて国宝に指定された「御影堂(みえいどう)」と「如来堂(にょらいどう)」です。その圧倒的なスケールの木造建築は、一歩足を踏み入れると静謐な空気と歴史の重みに包まれます。信仰の場としてだけでなく、江戸時代の高度な建築技術や芸術を体感できる文化資産としても、国内外の訪問者におすすめしたい聖地です。

 

歴史と由来 (History and Origins)

専修寺の歴史は鎌倉時代、浄土真宗の開祖である親鸞聖人が下野国(現在の栃木県真岡市)に建立した「高田門徒」の拠点を起源とします。

その後、戦国時代の戦火を避けるため、また布教の拠点を移すために、室町時代の文明年間(1470年代)に第10世・真慧(しんね)上人によって、伊勢の地(現在の一身田)に中心拠点が築かれました。一身田の地は、寺院を中心に堀を巡らせた「寺内町(じないまち)」として発展し、今日でも当時の風情を残す町並みが広がっています。江戸時代には徳川幕府の保護も受け、現在の巨大な伽藍が整えられました。

 

教え (Teachings of Kegon Sect)

専修寺は真宗高田派の本山であり、親鸞聖人の教えを根幹としています。

  • 本尊: 阿弥陀如来(あみだにょらい)

  • 教え: 「南無阿弥陀仏」と念仏を唱えることで、どのような人でも阿弥陀如来の慈悲によって救われ、極楽浄土へ往生できるという「他力本願」の教えです。

  • 特徴: 高田派は、親鸞聖人の直筆草稿である『顕浄土真実教行証文類(坂東本)』などを大切に保管しており、聖人の教えを最も忠実に、かつ独自に守り続けてきた門流として知られています。

 

言い伝えと伝説 (Legends and Folklore)

専修寺には、その巨大な建築にまつわる不思議な話や、地域の人々の信仰の深さを物語るエピソードが残っています。

  • 黄金の建築と「お七夜」: 毎年1月9日から16日まで行われる報恩講(親鸞聖人の法要)は「お七夜(おしちや)」と呼ばれ、三重県最大級の仏事として知られています。この期間中、広大な境内は屋台と参拝者で埋め尽くされ、夜通し念仏の声が響く光景は、地域の冬の風物詩として数百年続いています。

  • 蓮の浄土: 専修寺は「蓮(はす)の寺」としても有名です。境内のあちこちにある鉢には、約35種類もの蓮が植えられており、夏には極楽浄土を思わせるような美しい花を咲かせます。これは泥の中から清らかな花を咲かせる蓮を、人の生き方に重ねる仏教の教えを象徴しています。

 

見どころと境内案内 (Highlights and Precinct Guide)

  • 御影堂(みえいどう)【国宝】: 国内で5番目に大きい巨大な木造建築。畳780枚が敷き詰められた内部は圧巻です。親鸞聖人の木像を安置しており、その精緻な彫刻や金箔の装飾は、江戸時代中期の美の結集です。

  • 如来堂(にょらいどう)【国宝】: 御影堂の隣に立つ、本尊の阿弥陀如来を祀るお堂。中国風の「禅宗様」を取り入れた外観と、内部の豪華絢爛な「宮殿(くうでん)」が見どころです。

  • 山門(さんもん): 圧倒的な存在感を放つ巨大な二重門。複雑な組物や彫刻は、これから聖域に入る参拝者の背筋を正してくれます。

  • 通天橋(つうてんきょう): 御影堂と如来堂を繋ぐ屋根付きの廊下。意匠を凝らした造りとなっており、重要文化財に指定されています。

  • 御朱印とお守り: 「高田本山」の名が入った御朱印や、蓮をモチーフにしたお守りが人気です。

 

アクセス情報 (Access Information)

住所:

〒514-0114 三重県津市一身田町2819

公共交通機関

  • JR「一身田駅」より徒歩約5分。

  • 伊勢鉄道「東一身田駅」より徒歩約15分。

  • 近鉄「高田本山駅」より徒歩約20分。

  • バス:

    • JR・近鉄「津駅」東口バス乗り場より「一身田」「三重病院」行き等に乗車、「高田本山前」バス停下車すぐ。

車でのアクセス

  • 伊勢自動車道「芸濃IC」より約15分。

  • 伊勢自動車道「津IC」より約15分。

駐車場:

  • 参拝者用の無料駐車場(大駐車場)が完備されています(約300台収容可能)。

 

周辺の観光・食事処 (Nearby Attractions and Dining)

  • 三重県総合博物館 (MieMu): 専修寺から車で約10分。三重県の自然、歴史、文化を学べる体験型の博物館です。

  • 一身田の寺内町散策: 寺の周囲を囲む環濠(堀)や、古い商家が残る町並みを歩くだけでタイムスリップしたような気分を味わえます。

  • 津市観光協会グルメスポット: 店舗を巡るモデルコースや、季節ごとのグルメイベント情報も紹介されています。

  • 津市のうなぎ専門店: 津市は人口あたりの鰻屋の数が非常に多いことで有名。専修寺から車で10〜15分圏内に「大観亭」や「うなふじ」など、香ばしい炭火焼うなぎの名店が点在しています。

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