Description
益救神社(Yaku Jinja)
益救神社(屋久島)完全ガイド:屋久島総鎮守!登山安全と航海の神。歴史、ご利益、アクセスを徹底解説
鹿児島県、世界自然遺産の島・屋久島町宮之浦に鎮座する益救神社(やくじんじゃ)は、屋久島で最も古い歴史を持つ、屋久島総鎮守(島全体の守り神)です。
その歴史は飛鳥時代にまで遡り、『日本書紀』にも「益救(やく)」の名が登場するほど由緒ある神社です。島名「屋久(やく)」の語源とも言われています。
古くから霊峰・宮之浦岳などの山岳信仰と、黒潮の海の海洋信仰が融合した聖地であり、山の神・大山祇命(おおやまづみのみこと)などをお祀りしています。
そのため、屋久島トレッキング(登山)の安全や、航海安全のご利益が篤く、島を訪れる多くの観光客が、旅の安全と自然への感謝を祈るために、まず初めに(あるいは最後に)訪れるべき重要なパワースポットとなっています。
歴史と由緒 (History and Origins)
益救神社の創建は、飛鳥時代の舒明天皇(じょめいてんのう)の御代(629〜641年)と伝えられています。これは屋久島で最も古い創建年代です。
『日本書紀』や『続日本紀』といった日本最古級の歴史書にも、遣唐使の南路の寄港地として「益救(やく)」の島の名前が記されており、古くから国家的に重要な場所と認識されていました。
古来、屋久島は峻険な山々(奥岳)を神々の住まう場所とする山岳信仰と、荒ぶる海(黒潮)の恵みと安全を祈る海洋信仰が深く根付いていました。益救神社は、それらの信仰の中心地として発展しました。
中世以降、神仏習合の影響で「宮之浦権現(みやのうらごんげん)」と呼ばれ親しまれてきましたが、明治時代の神仏分離令により、元の「益救神社」の社名に戻り、現在に至っています。
祀られている神様(祭神) (Enshrined Deities - Saijin)
益救神社には、屋久島の山と海、そして生活全般を守る神々がお祀りされています。
- 主祭神:大山祇命(おおやまづみのみこと)
全国の山々を司る「山の神様」。 - 主祭神:天津彦火火出見尊(あまつひこほほでみのみこと)
「山幸彦(やまさちひこ)」として知られる神様。 - 主祭神:木花咲耶姫命(このはなさくやひめのみこと)
大山祇命の御子神で、火の神・安産の神様。
これらの神々の御神徳から、屋久島ならではの以下のご利益が篤く信仰されています。
- 登山安全・トレッキング安全
- 航海安全・大漁祈願(「益救(やく)は人を救う」として、海で遭難した人々を救う神ともされます)
- 家内安全、安産祈願、五穀豊穣
言い伝えと伝説 (Legends and Folklore)
【益救(やく)は人を救う】
古くから、この島は「益救(やく)」=「人々を救う島」と呼ばれていました。
これは、遣唐使船などが嵐で遭難した際、この島に流れ着けば命が助かる、という信仰があったためです。益救神社は、その「救いの神」が鎮まる場所として、航海の安全を祈る人々から篤く崇敬されてきました。
【神仏習合時代の名残】
鳥居の脇には、神社では珍しい「仁王像(におうぞう)」が力強く立っています。これは、かつて神社が「宮之浦権現」と呼ばれ、お寺(神宮寺)と一体であった時代の名残であり、神と仏が共に人々を守ってきた屋久島の信仰の歴史を今に伝えています。
見どころと境内案内 (Highlights and Precinct Guide)
- 本殿・拝殿
戦後に再建されたものですが、屋久島の総鎮守にふさわしい、荘厳で落ち着いた佇まいです。拝殿の天井には龍の絵が描かれています。 - 仁王像(石像)
鳥居のすぐ脇にある、神仏習合時代を象徴する一対の石像。 - 御神木と鎮守の森
境内は、亜熱帯の植物と温帯の植物が混生する屋久島らしい鎮守の森に包まれています。御神木である大きな杉やクスノキが、島の自然のエネルギーを感じさせてくれます。 - 登山安全・航海安全のお守り
屋久島登山の安全を祈願した「登山守り」や、屋久杉を使ったお守り、航海安全のお守りなどが人気です。トレッキングに出発する前に、ここで安全を祈願し、お守りを授かるのがおすすめです。
アクセス情報 (Access Information)
住所:
〒891-4205 鹿児島県熊毛郡屋久島町宮之浦277
公共交通機関:
- 屋久島の玄関口「宮之浦港」(高速船・フェリーターミナル)から 徒歩約10分
- バス
- 屋久島交通バス・まつばんだ交通バス「益救神社前」バス停下車、徒歩すぐ
- (宮之浦港からバスで約2分)
車でのアクセス:
- 宮之浦港から約3分
- 屋久島空港から約20分
- 駐車場:
周辺の観光・食事処 (Nearby Attractions and Dining)
- 宮之浦港(屋久島の玄関口)
高速船トッピー・ロケットやフェリー屋久島2などが発着する港。益救神社はここから徒歩圏内です。 - 宮之浦市街地(飲食店・土産物店)
神社周辺の宮之浦地区は、屋久島で最も賑やかなエリアの一つ。屋久島名物の「首折れサバ」や「トビウオ料理」を味わえる飲食店や、登山用品のレンタルショップ、土産物店が揃っています。 - 屋久島環境文化村センター
(宮之浦港から徒歩約5分)屋久島の自然と文化について学べる大型施設。巨大なスクリーンで屋久島の映像を見ることもでき、観光の最初に訪れると理解が深まります。 - 白谷雲水峡(しらたにうんすいきょう)
(益救神社から車で約30分)「もののけ姫」の森のモデルになったと言われる、苔むした美しい森。屋久島を代表するトレッキングスポットで、登山前に益救神社で安全祈願をするのが定番コースです。


