Description
厳島神社（Itsukushima Jinja）
海に浮かぶ世界遺産！歴史、ご利益、大鳥居、アクセスを徹底解説
広島県廿日市市の宮島（正式名称：厳島）に鎮座する厳島神社（いつくしまじんじゃ）は、日本三景「安芸の宮島」の象徴であり、「海に浮かぶ社殿」として世界的に知られる神社です。
その歴史は古く、平安時代末期に武将・平清盛（たいらのきよもり）が、厚い信仰を寄せて現在の海上社殿の基礎を築きました。海を敷地に見立て、潮の満ち引きによってその姿を変える独創的な建築美は、平安時代の貴族文化（寝殿造）を今に伝えています。
平成8年（1996年）には、背後にそびえる御神体「弥山（みせん）」の原始林などと共に、「世界文化遺産」に登録されました。海上交通の安全、財運、芸能など幅広いご利益を求めて、国内外から絶えず参拝者が訪れる、日本屈指の聖地です。
歴史と由緒 (History and Origins)
厳島神社の創建は、飛鳥時代の推古天皇元年（593年）、この地の有力豪族であった佐伯鞍職（さえきのくらもと）が、御神託（ごしんたく）により御祭神をお祀りしたのが始まりと伝えられています。
長らく地方の神社でしたが、その運命を大きく変えたのが平清盛です。
平安時代末期、安芸守（あきのかみ＝現在の広島県知事）となった平清盛は、瀬戸内海の制海権を掌握するため、厳島神社を平家一門の氏神として篤く崇敬しました。仁安3年（1168年）頃、清盛は莫大な私財を投じ、当時の貴族の邸宅様式である「寝殿造（しんでんづくり）」を取り入れた、現在のような壮麗な海上の社殿を造営しました。
平家滅亡後も、厳島神社は源氏をはじめとする歴代の武家政権や、皇室からも篤い崇敬を受け、日本の海の守護神として、また文化・芸術の神様として、その神威（しんい）を現代に伝えています。
祀られている神様（祭神） (Enshrined Deities - Saijin)
厳島神社には、「宗像三女神（むなかたさんじょしん）」と呼ばれる、天照大御神（あまてらすおおみかみ）と素盞嗚尊（すさのおのみこと）の誓約（うけい）によって生まれた三柱の美しい女神様がお祀りされています。
- 市杵島姫命（いちきしまひめのみこと）
- 田心姫命（たごりひめのみこと）
- 湍津姫命（たぎつひめのみこと）
これら三女神は、古くから航海の安全や交通を守る「海の神様」として信仰されてきました。
さらに、主祭神である市杵島姫命は、後に仏教の「弁財天（べんざいてん）」（弁天様）と同一視（神仏習合）されるようになりました。
そのため、財運招福、商売繁盛、そして弁天様の持つ「琵琶（びわ）」から転じて、芸能・音楽・技芸上達のご利益も非常に篤く信仰されています。
言い伝えと伝説 (Legends and Folklore)
【神烏（ごがらす）の導き】
厳島神社の創建の際、御祭神が鎮座する場所を探していた佐伯鞍職の前に、一羽の「烏（からす）」が現れました。この烏（神烏）が、現在の社殿が建つ場所へと鞍職を導き、鎮座の地が決まったと伝えられています。この神烏は、厳島神社の神の使いとされています。
見どころと境内案内 (Highlights and Precinct Guide)
- 大鳥居（おおとりい）【重要文化財】
厳島神社の象徴。海中に立ち、社殿と向かい合っています。高さは約16.6メートル（奈良の大仏とほぼ同じ）。現在の鳥居は明治8年（1875年）に再建された8代目で、自らの重みだけで海中に立っています（地面には埋められていません）。
満潮時には海に浮かぶ幻想的な姿を、干潮時には鳥居の根元まで歩いて近づき、その巨大さを体感できます。 - 本社拝殿・本殿（ほんでん）【国宝】
寝殿造の様式を今に伝える、日本屈指の国宝建築。平安貴族の邸宅を思わせる優雅な造りです。 - 高舞台（たかぶたい）【国宝】
本社の正面にある、舞楽（ぶがく）が奉納される舞台。平清盛が大阪・四天王寺から移したと伝えられ、現在も祭事の際にはここで雅な舞が披露されます。 - 東・西廻廊（ひがし・にし かいろう）【国宝】
本社と各社殿を結ぶ、朱塗りの美しい回廊。床板には隙間があり、満潮時に高波が来た際、海水の圧力を逃して社殿が浮き上がらないようにする工夫がされています。 - 反橋（そりばし）【重要文化財】
天皇からの使者（勅使）だけが渡ることを許された橋。現在は使用されていませんが、その急な反り（カーブ）が美しいアクセントとなっています。 - 干潮と満潮の景色
厳島神社は、訪れる時間によって全く異なる表情を見せます。満潮時は社殿全体が海に浮かび、干潮時は社殿の下の地面が現れ、大鳥居まで歩いて行けます。両方の景色を見るのが理想的です。
アクセス情報 (Access Information)
住所:
〒739-0588 広島県廿日市市宮島町1-1
公共交通機関:
（厳島神社は「宮島」という島にあるため、必ずフェリーでの移動が必要です）
- JR山陽本線 「宮島口駅」 または 広島電鉄 「広電宮島口駅」下車。
- 「宮島口桟橋」まで徒歩約5分。
- 桟橋からフェリー（JR西日本宮島フェリー または 宮島松大汽船）に乗船（約10分）。
- 「宮島桟橋」で下船後、表参道商店街を通り、徒歩約15分。
車でのアクセス:
- 山陽自動車道「廿日市IC」または「大野IC」より、国道2号線で「宮島口桟橋」方面へ（約10～15分）。
- 駐車場:
- 宮島口桟橋周辺の市営・民営駐車場（有料）をご利用ください。
ご注意： 宮島島内への車の乗り入れは道が狭く、観光には不便なため、宮島口に駐車してフェリーで渡ることを強く推奨します。
周辺の観光・食事処 (Nearby Attractions and Dining)
- 宮島表参道商店街（清盛通り）
宮島桟橋から厳島神社まで続く、島で最も賑やかな通り。名物の「焼き牡蠣」や「揚げもみじ（饅頭）」、ご当地グルメ「あなご飯」の店、土産物店が軒を連ね、食べ歩きに最適です。 - 弥山（みせん）
厳島神社の御神体とされる、宮島の最高峰（標高535m）。山頂には弘法大師（空海）が開いた霊場があり、瀬戸内海を一望できる絶景が広がります。「宮島ロープウエー」で手軽に登ることも可能です。 - 豊国神社（ほうこくじんじゃ）・五重塔
豊臣秀吉が建立を命じた未完の巨大な経堂で、「千畳閣（せんじょうかく）」と呼ばれています。隣接する朱塗りの五重塔（重要文化財）との対比が美しいです。 - 大聖院（だいしょういん）
宮島で最も歴史が古いとされる真言宗の寺院。弥山の麓にあり、見どころの多いパワースポットです。
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