Description
日吉大社(Hiyoshi Taisha)
神猿「まさる」さん、国宝の社殿群など、全国山王総本宮の魅力を徹底ガイド
滋賀県大津市、比叡山の麓に鎮座する日吉大社(ひよしたいしゃ)は、およそ2100年以上の歴史を持つ、全国約3,800社の日吉神社・日枝神社・山王神社の総本宮です。
古くから京の都の表鬼門(北東)を守る方除け・厄除けの神として崇敬を集め、平安時代に伝教大師最澄が比叡山延暦寺を開いてからは、天台宗の守護神「山王権現」として広く信仰されました。
広大な境内には、「日吉造(ひよしづくり)」という独特の建築様式で建てられた国宝の本殿をはじめ、重要文化財が数多く点在します。また、「魔が去る」「勝る」に通じる神様の使い「神猿(まさる)」さんでも知られ、境内の至る所でその姿を見つけることができます。
歴史や神社建築に興味がある方、厄除けや縁結びを願う方、そして比叡山・琵琶湖観光とあわせて日本の深い信仰文化に触れたい方に、ぜひ訪れていただきたい重要な聖地です。
歴史と由緒 (History and Origins)
日吉大社の歴史は極めて古く、社伝によれば、崇神天皇7年(紀元前91年頃)に比叡山の神である東本宮の御祭神・大山咋神(おおやまくいのかみ)が祀られたことに始まります。
飛鳥時代、天智天皇が都を近江・大津京へ遷都(667年)した際、奈良の三輪山(大神神社)より大己貴神(おおなむちのかみ)の分霊を勧請し、西本宮に祀りました。これが日吉大社の二柱の主祭神の起源です。
平安時代に入り、伝教大師最澄(767-822年)が比叡山に延暦寺を開くと、日吉大社はその守護神として位置づけられ、神仏習合の「山王信仰」(山王権現)が全国へと広まりました。
しかし、1571年(元亀2年)、織田信長による比叡山焼き討ちの際、日吉大社も巻き込まれ、壮麗だった社殿群はほぼすべて焼失しました。現在の美しい建造物群は、その後、豊臣秀吉や徳川家康といった天下人たちの庇護を受け、安土桃山時代から江戸時代初期にかけて再建されたものです。
明治時代の神仏分離令により延暦寺と明確に分離され、「日吉大社」と改称し、現在に至るまで皇室をはじめ多くの人々から篤い崇敬を集め続けています。
祀られている神様(祭神) (Enshrined Deities – Saijin)
日吉大社は広大な境内に約40もの社殿があり、多くの神々が祀られています。その中心となるのが「山王七社(さんのうななしゃ)」であり、特に重要なのが以下の二宮です。
- 西本宮(にしほんぐう)
- 御祭神: 大己貴神(おおなむちのかみ)
- 神格(ご利益): 大国主神(おおくにぬしのかみ)と同一神とされ、国造りの神、縁結びの神として知られます。主に縁結び、家内安全、夫婦和合、商売繁盛などのご利益があるとされます。
- 東本宮(ひがしほんぐう)
- 御祭神: 大山咋神(おおやまくいのかみ)
- 神格(ご利益): 比叡山の地主神であり、古事記にも登場する神様です。京の表鬼門を守護することから、方除け、厄除け、災難除け、産業守護のご利益が篤く信仰されています。
言い伝えと伝説 (Legends and Folklore)
日吉大社を語る上で欠かせないのが、神様の使いである「神猿(まさる)」さんの存在です。
古来、比叡山に猿が群れ住んでいたことから、いつしか猿は日吉の神の使い(神使)として大切にされるようになりました。「まさる」という呼び名は、「魔が去る」「何事にも勝る」という縁起の良い言葉に通じることから来ています。
そのため、日吉大社は強力な魔除け・厄除けの神社とされ、境内の楼門や神殿の軒下など、様々な場所に神猿さんの彫刻が見られます。また、西本宮の近くにある「神猿舎」では、実際に大切に育てられているお猿さんに会うこともできます。
見どころと境内案内 (Highlights and Precinct Guide)
日吉大社の境内は国の史跡に指定されており、見どころが満載です。
- 国宝(西本宮本殿・東本宮本殿)
両本殿は、「日吉造(ひよしづくり)」(または聖帝造)と呼ばれる、他では見られない非常に珍しい建築様式で建てられています。床下(縁の下)に「下殿(げでん)」と呼ばれる部屋が設けられているのが最大の特徴で、日本の神社建築史上、非常に重要な遺構です。 - 山王鳥居(さんのうとりい)
境内の入り口や各所に立つ鳥居は、通常の明神鳥居の上部に合掌(三角形)の破風(はふ)が乗った独特の形状をしています。これは山王信仰のシンボルであり、一見の価値があります。 - 重要文化財の楼門(西本宮・東本宮)
特に西本宮楼門は、軒下に注目です。四隅の軒下には、それぞれ異なるポーズ(見ざる・言わざる・聞かざる、など)をした神猿さんの彫刻が施されており、参拝者を見守っています。 - 日吉三橋(ひよさんきょう)
境内を流れる大宮川に架かる「大宮橋」「走井橋(はしりいばし)」「二宮橋」は、いずれも重要文化財に指定されている石造りの美しい反り橋です。 - お守りと御朱印
授与所では、「魔が去る」ご利益にちなんだ「神猿守」が人気です。また、西本宮・東本宮それぞれの御朱印を拝受することができます。
アクセス情報 (Access Information)
住所:〒520-0113 滋賀県大津市坂本5-1-1
公共交通機関:
- 京阪石山坂本線 「坂本比叡山口駅」下車、徒歩 約10分
- JR湖西線 「比叡山坂本駅」下車、徒歩 約20分
車でのアクセス:
- 名神高速道路 「京都東IC」より湖西道路(西大津バイパス)経由で約20分(「滋賀里ランプ」下車)
駐車場: あり(無料、約50台収容)
※ただし、紅葉シーズンなどの繁忙期は有料となる場合があります。また、混雑が予想されるため公共交通機関の利用を推奨します。
周辺の観光・食事処 (Nearby Attractions and Dining)
- 比叡山延暦寺
日吉大社と深い関わりを持つ天台宗の総本山。坂本からはケーブルカーで登頂できます。世界文化遺産に登録されており、根本中堂(現在改修中)など見どころ多数です。 - 坂本の門前町(穴太衆積みの石垣)
日吉大社から比叡山坂本駅にかけて広がる地域は、延暦寺の僧侶の隠居所である「里坊(さとぼう)」が点在する美しい町並みが残ります。「穴太衆(あのうしゅう)」と呼ばれる職人集団が築いた堅固で美しい石垣が特徴的です。 - 旧竹林院
坂本の里坊の一つで、国指定の名勝庭園が一般公開されています。リフレクション(反射)で有名な座敷からの眺めは圧巻です。 - 西教寺(さいきょうじ)
日吉大社から少し足を延ばした場所にある天台真盛宗の総本山。明智光秀とその一族の菩提寺としても知られ、美しい庭園や重要文化財の建築物があります。 - 坂本そば
坂本の名物グルメといえば「そば」。延暦寺の修行僧が食したとも言われ、門前町には「鶴喜そば」本店など、歴史ある蕎麦屋が軒を連ねます。


