本文
平城宮跡歴史公園(Nara Palace Site Historical Park)
圧倒的なスケールで蘇る「古の都」
奈良時代、そこは日本の国のかたちが定まり、華やかな貴族文化が花開いた時代でした。 その中心にあったのが、710年に藤原京から遷都された「平城京」です。かつての天皇の住まいであり、政治の中心地であった「平城宮(へいじょうきゅう)」。
長い間、田畑の下に眠っていたこの都の跡地は、今、壮大な国営公園「平城宮跡歴史公園」として蘇り、私たちを1300年前のタイムトラベルへと誘ってくれます。
平城宮跡に降り立つと、まずその広大さに息をのむことでしょう。甲子園球場約30個分とも言われる広大な敷地。視界を遮る高い建物はなく、どこまでも続く空と、緑の芝生、そして点在する復元建築物のコントラストは、現代の日本ではなかなか味わえない開放感です。
天平の威厳を今に伝える「朱雀門」
公園の南側の入り口として、訪れる人々を出迎えるのが「朱雀門(すざくもん)」です。かつて平城宮の正門として機能したこの門は、幅約25メートル、高さ約22メートル。 遠くから見てもその存在感は抜群ですが、ぜひ真下まで歩み寄って見上げてください。幾重にも組まれた木組みの複雑さ、鮮やかな丹土(につち)色の柱、そして屋根に輝く鴟尾(しび)。 ここがかつて、外国使節の送迎や、大勢の人々が集う祝祭の場であったことを想像すると、胸が高鳴ります。夕暮れ時、ライトアップされて闇に浮かび上がる朱雀門の姿もまた、幻想的で言葉を失う美しさです。
天皇が儀式を行った「第一次大極殿」
朱雀門から北へ、近鉄電車の線路を越えてさらに進むと見えてくるのが、平城宮最大のシンボル「第一次大極殿(だいいちじだいごくでん)」です。 天皇が即位の礼や国家的な儀式を行ったこの建物は、正面約44メートル、高さ約27メートルという日本最大級の木造復元建築。
その大きさもさることながら、内部の装飾の美しさは圧巻です。天井を見上げれば、上村淳之画伯による四神(青龍・白虎・朱雀・玄武)や十二生肖の花鳥画が極彩色で描かれており、当時の色彩感覚の豊かさに驚かされます。 中央には、天皇が座る玉座「高御座(たかみくら)」の実物大模型も鎮座しています。かつて聖武天皇もこの場所から、変わりゆく国を見渡していたのかもしれません。
歴史を知り、体験する「朱雀門ひろば」
2018年にオープンした「朱雀門ひろば」は、遺跡観光の楽しみ方を一変させました。ただ「見る」だけでなく、「学び、食べ、楽しむ」ことができる複合エリアです。
平城宮いざない館
まずはここへ立ち寄るのがおすすめ。平城宮跡の歴史や出土品、当時の暮らしぶりを分かりやすく解説してくれるガイダンス施設です。 木簡や瓦の実物展示はもちろん、当時の役人の仕事ぶりを再現したジオラマや、平城京の全体像がつかめる巨大模型など、知的好奇心をくすぐる展示が満載。「奈良時代って面白い!」と思わせてくれる工夫が凝らされています。
天平うまし館・天平みつき館
歩き疲れたら「天平うまし館」へ。ここにはカフェやレストランがあり、奈良の食材を使ったランチや、遣唐使が持ち帰ったとされる当時の食事をアレンジしたメニューなどを楽しむことができます。 ガラス張りの店内から眺める朱雀門と遣唐使船の復元展示は、最高のロケーションです。 また、「天平みつき館」は観光案内所とお土産ショップを兼ねており、奈良特産の雑貨や、ここでしか買えない平城宮跡グッズが手に入ります。センスの良い和雑貨は、旅の思い出にぴったりです。
ここでしか撮れない「奇跡の風景」
写真好きの方にとって、平城宮跡は絶好の撮影スポットです。 特にユニークなのが、**「世界遺産の中を突っ切る近鉄電車」**の風景。 朱雀門と大極殿の間には、近鉄奈良線の線路が敷かれており、歴史的建造物を背景に現代の電車が走り抜けるという、世界でも類を見ないシュールでダイナミックな光景が見られます。 (※現在、線路移設の計画が進んでいるため、この光景が見られるのも今のうちかもしれません)
また、春は桜、夏は燕、秋はススキと、四季折々の自然と遺跡のコラボレーションも魅力。広大な空は季節や時間帯によって表情を変え、いつ訪れても新しい発見があります。
何もない贅沢、歴史がある豊かさ
平城宮跡歴史公園には、派手なアトラクションはありません。しかし、そこにあるのは「1300年前と同じ風が吹いている」という圧倒的な事実と、想像力を掻き立てる広大な空間です。
忙しい現代社会を離れ、悠久の時が流れるこの場所で、かつての都の賑わいに耳を澄ませてみませんか? 歴史のロマンに浸り、奈良の奥深さを再発見する旅が、あなたを待っています。
アクセス情報(Access Information)
所在地:〒630-8012 奈良県奈良市二条大路南3丁目5−1
公共交通機関
電車をご利用の場合
近鉄「大和西大寺駅」南口から玉手門経由徒歩約20分 ※歩道が狭くなっているところがあります。車に注意してご通行ください。
近鉄「新大宮駅」から約20分
- 奈良交通 路線バスをご利用の場合
- 近鉄大和西大寺駅南口から「朱雀門ひろば前」停留所まで約6分
- 近鉄奈良駅から「朱雀門ひろば前」停留所まで約16分
- JR奈良駅西口から「朱雀門ひろば前」停留所まで約10分
奈良交通をご利用の場合には、便利な奈良交通なびwebをご利用ください。
車をご利用の場合
第二阪奈道路「宝来IC」から約10分
西名阪自動車道「郡山IC」から約20分
※駐車場あり(交通広場駐車場などをご利用ください。混雑時は公共交通機関の利用を推奨します)
周辺の観光スポット
平城宮跡と合わせて巡りたい、近隣の歴史・文化スポットをご紹介します。
唐招提寺(とうしょうだいじ)
鑑真和上が創建した律宗の総本山。天平建築の傑作である金堂(国宝)や、静寂に包まれた境内の苔の美しさは必見です。平城宮跡からバスで約15分。
薬師寺(やくしじ)
天武天皇が皇后の病気平癒を祈って建立。美しく復元された伽藍と、創建当時から残る東塔(国宝)の「凍れる音楽」と称されるシルエットが見どころ。
西大寺(さいだいじ)
平城宮跡のすぐ西に位置する真言律宗の総本山。「大茶盛式」という巨大な茶碗でお茶を回し飲む行事で有名です。
