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京都国際マンガミュージアム(Kyoto international Manga museum)

 

昭和レトロな小学校で、30万冊の物語に没入する。「京都国際マンガミュージアム」徹底ガイド

古都・京都のど真ん中、烏丸御池エリア。ビジネス街と歴史的な町並みが交差するこの場所に、世界中の漫画ファンが熱視線を送るユニークな施設があります。

京都国際マンガミュージアム」です。

明治時代の小学校校舎をリノベーションしたこのミュージアムは、一歩足を踏み入れれば、そこは懐かしさと新しさが同居する異空間。ギシギシと鳴る木の床の感触、高い天井、そして壁一面を埋め尽くす圧倒的な数の漫画たち。

ここは単なる「漫画が読める施設」ではありません。日本のポップカルチャーの歴史を肌で感じ、芝生で寝転びながら物語の世界に遊ぶ、世界でも類を見ない「現代の図書館」であり「博物館」なのです。

今回は、大人も子供も時間を忘れて夢中になれる、京都国際マンガミュージアムの全貌と楽しみ方を余すことなくご紹介します。

 

記憶を呼び覚ます建築。小学校が漫画の殿堂へ

京都国際マンガミュージアムを語る上で欠かせないのが、その建築です。

建物は、昭和初期に建てられた「元・龍池(たついけ)小学校」。少子化の影響で閉校となった学び舎が、2006年にマンガミュージアムとして生まれ変わりました。

昭和モダニズム建築の魅力

重厚なアーチ型の入り口をくぐると、そこにはタイムスリップしたかのような光景が広がります。

長く続く木造の廊下、少し急な階段、そして当時の面影を色濃く残す講堂。館内を歩くだけで、どこか懐かしい「学校の匂い」を感じることができるでしょう。

きれいに磨き上げられた木の床は、歩くたびに微かな音を立て、窓からは柔らかな自然光が差し込みます。

この建物は、国の登録有形文化財にも登録されており、昭和モダニズム建築の傑作としても楽しめます。かつての校長室や、古い机や椅子が展示されているスペースもあり、漫画を読む前の「空間探索」だけでも十分に心が躍ります。

圧巻のオブジェ「火の鳥」

エントランスホールの吹き抜けを見上げると、そこには手塚治虫の代表作『火の鳥』の巨大な木造彫刻が鎮座しています。

京都の仏師によって彫られたこのオブジェは、縦4.5メートル、横11メートル。過去から未来へ、永遠の命を繋ぐ「マンガ」という文化の象徴として、来館者を静かに出迎えてくれます。

 

5万冊が並ぶ「マンガの壁」と究極の読書体験

ミュージアムの最大の見どころは、館内の壁一面を埋め尽くす**「マンガの壁」**です。

収蔵されている資料は、江戸時代の戯画から現代の人気作品、海外のマンガまで約30万点。そのうち、単行本を中心とした約5万冊が、全長200メートルの書架に配架されており、来館者は自由に手にとって読むことができます。

 年代別・ジャンル別の迷宮

「マンガの壁」は、1階が少年向け、2階が少女向け、3階が青年向けと、大まかにゾーニングされています。さらに、1970年代、80年代、90年代……と発行年代別に並べられているため、自分の生まれた年の棚に行けば、子供の頃に夢中になった懐かしい作品と再会できるはずです。

「あ、これ読んでた!」「この表紙、懐かしい!」

廊下を歩く人々の口からは、そんな感嘆の声が漏れ聞こえてきます。絶版になってもう書店では手に入らない作品や、名前しか知らなかった名作に出会えるのも、このミュージアムならではの醍醐味です。

 芝生でゴロ寝読書という贅沢

好きな漫画を選んだら、どこで読むかも重要です。

館内の至る所に椅子やベンチが用意されていますが、晴れた日にぜひおすすめしたいのがグラウンド(芝生広場)」での読書です。

かつて校庭だった場所には青々とした人工芝が敷き詰められており、ここでは寝転がって漫画を読むことが許されています。

青空の下、風を感じながら、芝生に寝転んでページをめくる。これ以上の贅沢な読書体験があるでしょうか?

春には桜、秋には紅葉と、京都の四季を感じながら漫画の世界に没入する時間は、旅の疲れを優しく癒やしてくれます。

 

ライブで感じる物語。名物「紙芝居」とイベント

京都国際マンガミュージアムは、静かに本を読むだけの場所ではありません。日本の漫画文化のルーツとも言える「エンターテインメント」を体感できる仕掛けが満載です。

 爆笑と感動の「マンガ・カミシバイ」

来館者に大人気なのが、毎日開催されている「紙芝居」の上演です。

昭和の街頭紙芝居を再現したこのイベントは、単なる読み聞かせではありません。拍子木の音とともに始まる口上、観客との掛け合い、そしてクイズ大会。

「ヤッサン一座の紙芝居」のパフォーマーたちが繰り広げる話芸は、大人も子供も巻き込んで爆笑の渦に包み込みます。

古い自転車の荷台に載せられた舞台から飛び出す物語は、デジタル時代だからこそ新鮮に映る、ライブ・パフォーマンスの原点です。

※上演スケジュールは公式サイトでご確認ください。

 マンガ制作の裏側を知る

土日祝日を中心に開催される「マンガ工房」では、プロの漫画家が実際に原稿を描く様子を目の前で見学できます。下書き、ペン入れ、トーン貼りといった工程を生で見られる貴重な機会。

また、自分の似顔絵を漫画タッチで描いてもらえるコーナー(有料)もあり、京都旅行の特別な記念になります。

 

カフェとお土産で余韻に浸る

鑑賞の合間や帰り道には、ミュージアム内の施設も要チェックです。

 前田珈琲 マンガミュージアム店

かつての職員室エリアを活用したカフェです。

京都の老舗「前田珈琲」の香り高いコーヒーはもちろん、マンガミュージアム限定のコラボメニューや、昔懐かしい「給食」をイメージしたメニューが登場することも。

壁には漫画家たちの直筆サインやイラストが描かれており、ファンにはたまらない空間です。

 ミュージアムショップ

「ここにしかない」お土産を探すならショップへ。

ポストカードやクリアファイルといった定番グッズから、漫画のコマをデザインしたTシャツ、マニアックな漫画評論本まで、幅広いラインナップが揃っています。

特に、海外からの翻訳版マンガは、表紙のデザインが日本版と異なっており、インテリアとしても人気です。

 

アクセス情報(Access Information)

京都国際マンガミュージアムは、京都市内の中心部に位置しており、アクセスは非常に便利です。

  • 京都駅
    • 地下鉄烏丸線 烏丸御池駅 約6分 2番出口より階段を上がってすぐ
  • 四条烏丸
    • 徒歩 – 約15分 散策しながら北上するルートもおすすめ
  • 三条京阪
    • 地下鉄東西線 烏丸御池駅 約4分

 

※アクセスのポイント

最寄りの「烏丸御池(からすまおいけ)」駅は、地下鉄烏丸線と東西線が交差する駅です。2番出口を出てすぐ目の前がミュージアムなので、方向音痴の方でも迷う心配はありません。雨の日でも、出口から数秒で入館できるのが嬉しいポイントです。

 

周辺の観光スポット

烏丸御池エリアは、新旧の京都が混ざり合う洗練されたエリアです。ミュージアムと合わせて巡りたいスポットをご紹介します。

  • 世界遺産・二条城:ミュージアムから地下鉄で1駅(徒歩約15分)。徳川家康が築城し、大政奉還の舞台となった歴史的遺産です。国宝・二の丸御殿の豪華絢爛な障壁画や、うぐいす張りの廊下は必見。
  • 京都文化博物館:明治時代の赤レンガ建築(旧日本銀行京都支店)が印象的な博物館。京都の歴史や文化に関する展示はもちろん、館内にある「ろうじ店舗」には、江戸時代の京町家を再現した空間に飲食店や土産物店が並びます。
  • 新風館:ミュージアムのすぐ近くにある、歴史的建造物(旧京都中央電話局)をリノベーションした複合商業施設。おしゃれなショップ、ミニシアター、エースホテル京都が入っており、建築デザインは隈研吾氏が監修。中庭の緑を感じながらショッピングや食事を楽しめます。
  • 錦市場:「京の台所」と呼ばれる商店街。徒歩10〜15分ほど南下した場所にあります。だし巻き卵、湯葉、漬物など、京都ならではの食材を食べ歩きできます。夕方は混雑するので、早めの時間がおすすめです。

 

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