Description
福島稲荷神社(Fukushimainari Jinja)
商売繁盛と安倍晴明ゆかりの歴史、見どころ、アクセスを徹底解説
福島県福島市の中心部に鎮座する福島稲荷神社(ふくしまいなりじんじゃ)は、古くから「お稲荷さん」として市民に親しまれている、福島市の総鎮守ともいえる神社です。
その創建は平安時代、かの有名な陰陽師・安倍晴明(あべのせいめい)が、大阪・信太の森(しだのもり)ゆかりの神様をこの地に勧請したことに始まると伝えられています。
江戸時代には福島藩の歴代藩主から篤い崇敬を受け、城下町の繁栄と共に「商売繁盛」「五穀豊穣」の神様として信仰を集めてきました。福島市の発展を長きにわたり見守ってきた、歴史とご利益に満ちた神社です。
歴史と由緒 (History and Origins)
福島稲荷神社の創建は、平安時代の永祚3年(987年)と伝えられています。
伝承によれば、陰陽師・安倍晴明が奥州(東北地方)に下向した際、この地に立ち寄りました。晴明は、自身の母親(白狐・葛の葉)の伝説が残る和泉国(現在の大阪府)の「信太の森」に祀られていた神様を、この福島の地にお迎え(勧請)したのが始まりとされています。
その後、安土桃山時代から江戸時代初期にかけて、福島城主となった蒲生(がもう)氏の重臣・豊臣源右衛門(とよとみげんえもん)(蒲生源右衛門)が、城下町を整備するにあたり、慶長19年(1614年)に神社を現在の場所へ遷座させました。
江戸時代に入ると、福島藩の総鎮守として歴代藩主(特に板倉氏)の庇護を受け、商売繁盛の神様として、城下の人々から篤い信仰を集め、現在に至っています。
祀られている神様(祭神) (Enshrined Deities - Saijin)
福島稲荷神社には、私たちの生活に深く関わる神々が祀られています。
- 主祭神:豊受比売命(とようけひめのみこと)
伊勢神宮・外宮(げくう)の御祭神としても知られ、食物や穀物全般を司る神様です。そこから転じて、商売繁盛、五穀豊穣、家内安全など、衣食住と産業全般を守護するご利益があるとされています。 - 相殿神(あいどのしん)
大国主命(おおくにぬしのみこと – 縁結び)、猿田彦命(さるたひこのみこと – 導き・交通安全)、宇迦之御魂神(うかのみたまのかみ – 稲荷神)、保食神(うけもちのかみ – 食物神)など、多くの神様が合祀されています。
言い伝えと伝説 (Legends and Folklore)
【安倍晴明と「信太の森」伝説】
福島稲荷神社の創建に安倍晴明が関わっているという伝承は、この神社の大きな特徴です。晴明の父・安倍保名(あべのやすな)が信太の森で白狐を助け、その白狐「葛の葉(くずのは)」が人間の姿となって保名と結ばれ、生まれたのが晴明である、という有名な「葛の葉伝説」があります。
福島稲荷神社は、その晴明のルーツともいえる信太の森の神様をお祀りしている、非常にロマンあふれる神社なのです。
【豊臣源右衛門】
神社を現在地に遷した蒲生源右衛門は、その功績により主君・蒲生氏郷(がもううじさと)を通じて、豊臣秀吉から「豊臣」の姓を賜ったと伝えられています。福島市の礎を築いた人物として、神社の歴史に深く名を刻んでいます。
見どころと境内案内 (Highlights and Precinct Guide)
- 福島稲荷神社 例大祭(稲荷の宵祭り)
毎年10月に3日間にわたって開催される、福島市で最大級の秋祭りです。特に「宵祭り」と呼ばれる日の夜は、中心街の道路が歩行者天国となり、約300軒もの露店が立ち並びます。御神輿が街を練り歩く姿は圧巻で、多くの人々で賑わいます。 - 福島市指定天然記念物
境内には、福島市の歴史を見守ってきた御神木があります。拝殿の右手にある「ケヤキ」(樹齢400年以上と推定)と、参道入り口(東側鳥居)の「イチョウ」は、市の天然記念物に指定されています。 - 多彩な境内社(末社)
境内には、本社以外にも多くの神様が祀られており、一度に様々なお参りができます。
- 天満宮(福島天神): 学問の神様・菅原道真公を祀り、受験生に人気です。
- 恵比寿神社・大黒神社: 商売繁盛・福の神として、多くの商店主が参拝に訪れます。
- 聖徳太子神社: 職人や建築の神様。
- 足尾神社: 足の健康・病気平癒の神様。
アクセス情報 (Access Information)
住所:
〒960-8106 福島県福島市宮町1番29号
公共交通機関:
- JR「福島駅」東口より徒歩約12分
車でのアクセス:
- 東北自動車道「福島飯坂IC」より約15分
- 東北自動車道「福島西IC」より約15分
- 駐車場:
- あり(境内駐車場 約30台、無料)
周辺の観光・食事処 (Nearby Attractions and Dining)
- 福島県立美術館
福島稲荷神社のすぐ西隣にある美術館。地元ゆかりの芸術家の作品のほか、国内外の近代美術品を鑑賞できます。 - 福島市古関裕而記念館
福島駅方面へ徒歩約10分。福島市出身で、連続テレビ小説「エール」のモデルとなった作曲家・古関裕而の功績を記念した施設です。 - 福島駅周辺(飲食店)
参拝後は、福島駅周辺で名物グルメを楽しむのがおすすめです。パリパリの皮が特徴の「円盤餃子」(例:元祖円盤餃子 満腹、餃子の照井)や、福島ならではの「福島ラーメン」など、人気店が多数あります。 - 花見山公園
春(特に4月)に福島市を訪れるなら外せない、日本を代表する桜の名所。多種多様な花々が咲き誇る様は「桃源郷」とも称されます。神社からは車で約15分。

