Description
伏見稲荷大社（Fushimiinari Taisha）
千本鳥居の聖地！歴史、ご利益、お山めぐり、アクセスを徹底解説
京都市伏見区に鎮座する伏見稲荷大社（ふしみいなりたいしゃ）は、全国に約3万社あるといわれる「お稲荷さん」（稲荷神社）の総本宮です。地元京都では親しみを込めて「お稲荷さん」と呼ばれ、その歴史は奈良時代から1300年以上続いています。
御祭神は稲（食物）を司る「稲荷大神（いなりおおかみ）」であり、古くから五穀豊穣、そして現代では商売繁盛、事業繁栄の神様として、全国から最も篤い信仰を集める神社の一つです。
最大の見どころは、本殿の背後から稲荷山全体に広がる「千本鳥居（せんぼんとりい）」。信者から奉納された約1万基もの朱色の鳥居がトンネルのように連なる光景は、日本国内だけでなく、外国人観光客にも「最も日本らしい風景」として絶大な人気を誇っています。
歴史と由緒 (History and Origins)
伏見稲荷大社の創建は、奈良時代の和銅4年（711年）と伝えられています。
『山城国風土記』によれば、この地を治めていた豪族・秦（はた）氏の先祖が、豊かさのあまり稲（米）で作った餅を的にして矢を射たところ、その餅が白い鳥（白鳥）に姿を変えて山（現在の稲荷山）の頂に舞い降りました。そして、その場所に稲が生えるという吉兆が起こりました。
この霊験（れいげん）に驚いた秦氏は、この稲が成った（イネナリ→イナリ）地に神様をお祀りしたのが、伏見稲荷大社の始まりとされています。
平安時代には、弘法大師空海が東寺（教王護国寺）の守護神として稲荷神を勧請（かんじょう）したことから、皇室や貴族からも篤く信仰されるようになりました。
江戸時代に入ると、稲の神様＝五穀豊穣の神様から転じて、あらゆる産業（特に商業）の守護神、「商売繁盛」の神様として、武士や庶民の間で爆発的な信仰が広まりました。この頃から、願い事が「通るように」「通った」感謝のしるしとして、鳥居を奉納する習慣が盛んになりました。
祀られている神様（祭神） (Enshrined Deities - Saijin)
伏見稲荷大社では、以下の五柱の神様を「稲荷大神（いなりおおかみ）」として総称し、お祀りしています。
- 宇迦之御魂大神（うかのみたまのおおかみ）:（主祭神）
稲をはじめとする食物・穀物を司る神様。 - 佐田彦大神（さたひこのおおかみ）:
導き、交通安全の神様。 - 大宮能売大神（おおみやのめのおおかみ）:
芸能、人を惹きつける魅力の神様。 - 田中大神（たなかのおおかみ）:
- 四大神（しのおおかみ）:
これら五柱の神様が一体となって、商売繁盛、五穀豊穣を基本とし、家内安全、所願成就（あらゆる願いが叶う）、交通安全、芸能上達など、非常に幅広いご利益を授けてくださるとされています。
言い伝えと伝説 (Legends and Folklore)
【お稲荷さんと狐（きつね）】
伏見稲荷大社といえば「狐」を連想しますが、狐は神様そのものではなく、稲荷大神の「神使（しんし）」＝お使い（眷属）です。
なぜ狐がお使いとされるのかは諸説ありますが、
- 稲（食物）の天敵であるネズミを狐が捕食するため。
- 稲穂が実り、こうべを垂れる様が、狐の尻尾の形に似ているため。
- 稲荷大神の別名「御饌津神（みけつかみ）」の「ケツ」が、古い言葉で狐を指す「キツ（ケツ）」と結びついたため。
などが挙げられます。
境内の狐像は、大切なものを守る「鍵」や、願いを叶える「宝珠（ほうじゅ）」などを咥えている姿が多く見られます。
見どころと境内案内 (Highlights and Precinct Guide)
- 楼門（ろうもん）【重要文化財】
神社の入口にそびえる、非常に大きく壮麗な門。天正17年（1589年）、豊臣秀吉が母・大政所の病気平癒を祈願し、成就したため寄進したものと伝えられています。 - 本殿【重要文化財】
応仁の乱で焼失後、明応8年（1499年）に再建されたもの。「稲荷造」と呼ばれる独特の建築様式で、稲荷大神五柱が祀られています。 - 千本鳥居（せんぼんとりい）
本殿の裏手から「奥社奉拝所」へと続く参道。伏見稲荷大社で最も有名なスポットです。朱色の鳥居が二股に分かれてトンネルのように密集して立ち並ぶ光景は、非常に幻想的で、異世界に迷い込んだかのような感覚を覚えます。 - 奥社奉拝所（おくしゃほうはいしょ）と「おもかる石」
千本鳥居を抜けた先にあるお社。ここから稲荷山を遥拝します。
ここの右手奥にある一対の石灯籠が「おもかる石」です。まず願い事を心に念じ、灯籠の頭（空輪）を持ち上げます。その時、自分が予想していたよりも「軽ければ」願いが叶いやすく、「重ければ」一層の努力が必要とされています。 - お山めぐり（稲荷山巡拝）
稲荷山（標高233m）の山中にある無数の「お塚」（信者が個別に祀る石碑）や祠を巡拝することです。一周は約4km、所要時間は約2時間。四ツ辻（京都市内を一望できる絶景・休憩スポット）を経て、山頂の「一ノ峰（上社神蹟）」まで登り、下山します。体力が必要ですが、伏見稲荷の信仰の深さと、森の神聖な空気を最も体感できるルートです。
アクセス情報 (Access Information)
住所:〒612-0882 京都府京都市伏見区深草藪之内町68
公共交通機関:
（アクセスは公共交通機関を強く推奨します）
- JR奈良線 ※京都駅からJR奈良線で約5分
「稲荷駅」下車、徒歩すぐ（楼門の目の前です） - 京阪本線
「伏見稲荷駅」下車、東へ徒歩約5分
車でのアクセス:
- 名神高速道路 「京都南IC」より約20分
駐車場:
- あり（神社付属の無料駐車場、約170台）
※ 正月三が日や土日祝日は即満車となり、周辺道路は終日大渋滞となります。公共交通機関をご利用ください。
周辺の観光・食事処 (Nearby Attractions and Dining)
- 参道（表参道・裏参道）
神社の周辺には多くの飲食店や土産物店が軒を連ねます。お稲荷さんならではの「稲荷寿司（いなりずし）」や「きつねうどん」、名物「すずめの焼き鳥（稲を食べる雀を退治したことに由来）」「稲荷せんべい」などが楽しめます。 - 東福寺（とうふくじ）
伏見稲荷大社から徒歩圏内（またはJRで一駅）にある、京都五山の一つに数えられる大寺院。特に秋の「通天橋（つうてんきょう）」から望む紅葉は、京都でも随一の絶景として知られます。 - 伏見（酒蔵の町並み）
京阪電車で南へ数駅（「伏見桃山駅」や「中書島駅」周辺）。良質な水に恵まれた伏見は日本有数の酒どころ。「月桂冠大倉記念館」や「黄桜カッパカントリー」などがあり、酒蔵が並ぶ風情ある町並みを散策できます。
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