Description
日枝神社（Hie Jinja）
徳川家ゆかりの歴史から、仕事、ビジネス運、商売繁盛のご利益まで詳しく解説
日枝神社（読み方：ひえじんじゃ）は、東京都心、永田町に鎮座する、江戸時代から続く格式高い神社です。古くは江戸城の鎮守として徳川将軍家から篤い崇敬を受け、現在は皇居の鎮守（裏鬼門の守護）として、また「山王（さんのう）さん」の愛称で多くの人々に親しまれています。
主祭神である大山咋神（おほやまくひのかみ）は、縁結びや商売繁盛、厄除けにご利益があるとされ、また神使が「猿（さる）」であることから、安産や子育ての信仰も集めています。
都心のビル群の中にありながら、緑豊かな境内は静謐な空気に包まれており、特徴的な「山王鳥居」や、参拝に便利なエスカレーターが設置されている点も特徴です。歴史散策が好きな方、強力なご利益を求める方、都心で安らぎの時間を持ちたい方におすすめのパワースポットです。
歴史と由緒 (History and Origins)
日枝神社の創建年代は定かではありませんが、その起源は武蔵野国を開拓した祖神を祀ったことにあるとされます。
その歴史が大きく動いたのは室町時代、文明10年（1478年）のことです。武将・太田道灌（おおたどうかん）が江戸城を築城するにあたり、城内の鎮守として川越の山王社（現在の川越日枝神社）から分霊を勧請しました。
天正18年（1590年）、徳川家康が江戸に入府すると、日枝神社は江戸城の鎮守として篤く崇敬されています。特に二代将軍・秀忠、三代将軍・家光の時代には「将軍家御産土神（うぶすながみ）」として尊ばれ、江戸の繁栄を守護する中心的な神社となりました。
江戸時代、日枝神社は江戸城内にありましたが、明暦3年（1657年）の「明暦の大火」で社殿が焼失。万治2年（1659年）、四代将軍・家綱によって、江戸城から見て裏鬼門（南西）にあたる現在の赤坂の地（松平忠房の邸宅跡）に遷座され、壮麗な社殿が再建されました。この遷座により、広く一般市民も参拝できるようになりました。
明治時代に入ると、皇城（現在の皇居）の鎮護とされ、明治元年（1868年）に社号を「日枝神社」と改称。官幣大社（かんぺいたいしゃ）という最高の社格に列せられました。
昭和20年（1945年）の東京大空襲により、国宝に指定されていた社殿は惜しくも焼失しましたが、昭和33年（1958年）に現在の御社殿が再建され、首都・東京の守護神として今に至っています。
祀られている神様（祭神） (Enshrined Deities – Saijin)
- 主祭神：大山咋神（おほやまくひのかみ）
神格・ご利益：- 日本神話において、山と水を司る神とされています。滋賀県の日吉大社（ひよしたいしゃ）の祭神でもあり、「山王」の名の由来となっています。
- 「咋（くい）」が万物の生成発展を意味することから、産業発展、商売繁盛、ビジネス運ＵＰのご利益で知られています。
- また、神使である「猿（さる）」が「縁（えん）」に通じることから、縁結び、良縁の神様としても篤く信仰されています。
- 相殿神（あいどのしん）：
- 国常立神（くにのとこたちのかみ）： 国土の根源神、物事の始まりの神。
- 伊弉冉神（いざなみのかみ）： 国生み・神生みの女神。
- 足仲彦尊（たらしなかつひこのみこと）： 第14代仲哀天皇。
言い伝えと伝説 (Legends and Folklore)
日枝神社を語る上で欠かせないのが、神様の使いである「神猿（まさる）」の存在です。
日枝神社の神使は狛犬ではなく「猿」が務めています。これは、祭神・大山咋神の「山王」信仰が、比叡山延暦寺の鎮守である日吉大社（神使が猿）と深く結びついているためです。
この「猿」は、「さる」という音から「魔が去る（まがさる）」「何事にも勝る（まさる）」として、古くから厄除けや勝運の象徴とされてきました。
また、猿は多産でお産が軽い動物とされることから、安産や子授け、子育ての守護神としても信仰されています。
境内の神門や拝殿前には、狛犬の代わりに「夫婦の神猿像」が鎮座しています。向かって左側には子猿を抱いた妻猿（安産・子育て）、右側には夫猿（商売繁盛・社運隆昌）がおり、多くの参拝者がその頭を撫でてご利益を願っています。
見どころと境内案内 (Highlights and Precinct Guide)
- 山王鳥居（合掌鳥居）
表参道（男坂）の入り口や、エスカレーターを上がった先の神門前にある鳥居は、一般的な鳥居とは異なり、上部に三角形の破風（はふ）が付いているのが特徴です。これは「山王鳥居」または「合掌鳥居」と呼ばれ、神仏習合の時代の名残を今に伝えています。 - エスカレーター
外堀通り沿い（山王下）からの参道には、参拝者用のエスカレーターが設置されています。都心の神社ならではの設備で、階段を上るのが難しい方でも楽に参拝が可能です。 - 男坂（表参道）
エスカレーターの脇にある急な石段が「男坂」と呼ばれる表参道です。山王鳥居をくぐり、一気に上るこの階段は、江戸時代から続く正式な参道です。 - 神門と社殿（拝殿・本殿）
昭和33年に再建された社殿は、戦後の神社建築の傑作とされ、緑青（ろくしょう）の屋根と朱塗りの柱が鮮やかなコントラストを見せています。都心のビル群を背景にした姿は圧巻です。 - 神猿像（しんえんぞう）
前述の通り、拝殿前に鎮座する夫婦の猿の像は、必ず触れておきたいパワースポットです。 - 山王稲荷神社（摂社）
本殿の脇には、朱色の鳥居が連なる「山王稲荷神社」があります。京都の伏見稲荷大社から勧請されたもので、商売繁盛のご利益があるとされ、多くの参拝者で賑わいます。 - 山王祭（盆踊り）
6月中旬に溜池山王駅前の空き地で開催。キッチンカー多彩な飲食を提供し、老若男女が浴衣で「山王音頭」や多彩な民謡に合わせて踊る、都心で一足早い夏を楽しむ盆踊り大会です。 - 御朱印・お守り
御朱印は「日枝神社」の墨書きがいただけます。お守りは、神使「まさる」にちなんだ「まさる守」（勝運・厄除け）や、縁結びのお守り、安産守りなどが人気です。
アクセス情報 (Access Information)
住所:〒100-0014 東京都千代田区永田町2丁目10番5号
公共交通機関:
- 東京メトロ 千代田線「赤坂駅」（出口2）より 徒歩3分
- 東京メトロ 南北線・銀座線「溜池山王駅」（出口7）より 徒歩3分
- 東京メトロ 丸ノ内線・銀座線「赤坂見附駅」（出口11）より 徒歩8分
車でのアクセス:
- 首都高速「霞が関IC」より 約5分
駐車場: あり（参拝者用 約100台 / 無料）
※ご祈祷や結婚式などで混雑・満車となる場合があります。
周辺の観光・食事処 (Nearby Attractions and Dining)
- 赤坂サカス
TBS放送センターを中心に、劇場（赤坂ACTシアター）や商業施設、レストランが集まる複合施設。参拝後の食事や休憩に便利です。 - 国会議事堂
日本の政治の中枢。事前の予約や当日受付で見学（参観）が可能です。日枝神社からは徒歩圏内です。 - 皇居
かつて日枝神社が鎮守した江戸城（現・皇居）。広大な敷地は散策やランニングに最適で、東御苑などは一般公開されています。 - 豊川稲荷東京別院
日枝神社から徒歩圏内にある、もう一つの有名な寺院（神社ではありません）。商売繁盛の神様として知られ、無数の狐像が並ぶ光景は圧巻です。 - 赤坂の料亭・レストラン街
日枝神社の周辺（特に赤坂見附駅方面）は、古くからの料亭や、ミシュランガイドに掲載されるような高級レストラン、手頃なランチが楽しめる飲食店まで、多彩なグルメスポットが揃っています。
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