Description
高千穂神社(Takachiho Jinja)
神話と歴史、ご利益、見どころ、高千穂神楽を徹底解説
宮崎県・高千穂町の中心部に鎮座する高千穂神社(たかちほじんじゃ)は、天孫降臨の神話が息づくこの地の信仰の中心であり、全国にある高千穂郷八十八社の総社(総鎮守)として篤い崇敬を集める古社です。
約1900年前の創建と伝えられ、皇室ともゆかりの深い歴史を持ちます。主祭神は「高千穂皇神(日向三代)」と「十社大明神」をお祀りし、特に縁結び、夫婦円満、厄除け、農産業の守護にご利益が高いとされています。
境内には国の重要文化財に指定された壮麗な本殿や、縁結びのパワースポットとして知られる「夫婦杉」、鎌倉時代の名将が手植えした杉などが立ち並び、荘厳な空気に包まれています。
また、最大の見どころとして、神社境内の「神楽殿」では、国の重要無形民俗文化財である「高千穂の夜神楽」のダイジェスト版が毎晩欠かさず一般公開されており、神話の世界を間近に体感できます。歴史や神話に触れたい方、良縁を願う方、そして高千穂の文化の神髄に触れたいすべての人におすすめの聖地です。
歴史と由緒 (History and Origins)
高千穂神社の創建は、今から約1900年前の垂仁天皇(すいにんてんのう)の時代に遡ると伝えられています。古くは「十社大明神(じっしゃだいみょうじん)」と呼ばれていましたが、明治時代に現在の「高千穂神社」と改称されました。
平安時代末期には、高千穂郷の総鎮守として広く信仰を集め、鎌倉時代には源頼朝が天下泰平を祈願し、代参として腹心の畠山重忠(はたけやましげただ)を派遣したと記録されています。この時、頼朝の命により奉納されたと伝わる「鉄造狛犬一対」は、現在も国の重要文化財として大切に保存されています。
現在の本殿は、1778年(安永7年)に延岡藩主・内藤政脩(ないとうまさのぶ)によって造営されたもので、その壮麗さと九州地方の特色を色濃く残す建築様式から、2004年(平成16年)に国の重要文化財に指定されました。
祀られている神様(祭神) (Enshrined Deities - Saijin)
高千穂神社には、主に二柱の神様(総称)がお祀りされています。
- 高千穂皇神(たかちほすめがみ)
- 天孫降臨の主役である瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)から始まる「日向三代(ひゅうがさんだい)」の神々と、その配偶神(妻)六柱の総称です。
- 日向三代と配偶神:
- 瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)と 木花開耶姫命(このはなさくやひめ)
- 彦火火出見尊(ひこほほでみのみこと)と 豊玉姫命(とよたまひめのみこと)
- 鵜鵝草葦不合尊(うがやふきあえずのみこと)と 玉依姫命(たまよりひめのみこと)
- これらの神々は皇室の祖先とされ、国土安泰、五穀豊穣、縁結び、夫婦円満、安産など、広範なご神徳を持ちます。
- 十社大明神(じっしゃだいみょうじん)
- 初代・神武天皇の兄にあたる三毛入野命(みけぬのみこと)と、その妻子神(九柱)を合わせた十柱の神様の総称です。
- 後述する「鬼八伝説」の主役であり、高千穂の地を平定した英雄として崇められています。
- ご利益: この地の守護神として、厄除け、武運長久、農産業(商売繁盛)にご利益があるとされています。
言い伝えと伝説 (Legends and Folklore)
高千穂神社を語る上で欠かせないのが、十社大明神の主祭神・三毛入野命にまつわる「鬼八(きはち)伝説」です。
昔、高千穂の地には「鬼八」という荒ぶる神(または大悪人)がおり、人々を苦しめていました。神武天皇の東征に従わなかった三毛入野命は高千穂に戻り、この鬼八を退治することに成功します。
しかし、鬼八の怨霊はその後も霜を降らせて作物を枯らすなど祟りをなしたため、命はその霊を慰めるために「猪々掛祭(ししかけまつり)」を始めたとされます。
この伝説は、現在の本殿(重要文化財)の脇障子にも、三毛入野命が鬼八を退治する場面として見事な彫刻で残されています。また、この鬼八伝説は、後述する「高千穂の夜神楽」の演目にも取り入れられています。
見どころと境内案内 (Highlights and Precinct Guide)
- 本殿(国の重要文化財)
1778年に再建された本殿は、九州南部を代表する神社建築の傑作です。精緻な彫刻が施された「五間社流造(ごけんしゃながれづくり)」という様式で、特に「鬼八伝説」をモチーフにした三毛入野命の彫刻は必見です。 - 夫婦杉(めおとすぎ)
拝殿の右手前にある、根元が一つにつながった二本の大杉。樹齢は約800年と推定されています。夫婦や恋人、友人と手をつないでこの杉の周りを3周すると、「縁結び」「家内安全」「子孫繁栄」の3つの願いが叶うという言い伝えがあり、強力なパワースポットとして人気です。 - 鉄造狛犬一対(国の重要文化財)
拝殿内に安置されている、鎌倉時代作の狛犬(レプリカが拝殿前に設置されている場合もあります)。源頼朝が奉納したと伝えられ、木造や石造が一般的な中で、鉄で造られた狛犬は全国的にも非常に珍しく、国の重要文化財に指定されています。 - 高千穂神楽(神楽殿)
高千穂神社最大の魅力とも言えるのが、境内の「神楽殿」で毎晩開催される観光神楽です。本来は秋の収穫祭として集落ごとに夜を徹して奉納される「高千穂の夜神楽」(国指定重要無形民俗文化財)の中から、代表的な4番(手力雄の舞、鈿女の舞、戸取の舞、御神体の舞)を約1時間で鑑賞できます。
- 開催時間: 毎晩 20:00~21:00(年中無休)
- 拝観料: 1,000円(小学生以上)
- 予約: 事前予約が推奨されます(高千穂町観光協会ウェブサイト等)。
- 秩父杉(ちちぶすぎ)
境内にあるもう一つの巨木。源頼朝の代参・畠山重忠が手植えしたと伝わる杉で、彼の出身地(武蔵国秩父)にちなんで名付けられました。 - 鎮石(しずめいし)
拝殿の左手前にある神聖な石。第11代垂仁天皇の時代、伊勢神宮と高千穂神社にだけ鎮祭を許されたと伝わる霊石で、触れて祈願すると悩みや世の乱れが鎮まると言われています。 - 御朱印・お守り
社務所では、高千穂神社の御朱印(「高千穂宮」と書かれることも)やお守りを受けることができます。特に縁結びや厄除けのお守りが人気です。
アクセス情報 (Access Information)
住所:
〒882-1101 宮崎県西臼杵郡高千穂町大字三田井1037
公共交通機関:
- 「高千穂バスセンター」より徒歩約15分
- (主要都市からのアクセス例:熊本駅・熊本空港から特急バス「たかちほ号」で「高千穂バスセンター」下車。またはJR延岡駅から路線バスで約1時間半)
車でのアクセス:
- 九州中央自動車道「山都中島西IC」より約1時間
- 東九州自動車道「延岡IC」より約1時間
- 駐車場:
- あり(無料駐車場 約80台)
周辺の観光・食事処 (Nearby Attractions and Dining)
高千穂神社(高千穂町中心部)を拠点に、神話の里を巡ることができます。
- 高千穂峡(真名井の滝)
(神社から車で約5分)
国の名勝・天然記念物。阿蘇山の噴火による柱状節理の渓谷は圧巻です。「真名井の滝」は日本の滝百選にも選ばれており、貸しボートでの遊覧が人気です。 - 天岩戸神社(あまのいわとじんじゃ)
(神社から車で約15分)
天照大神(あまてらすおおみかみ)がお隠れになったと伝わる「天岩戸」をご神体として祀る神社。対岸の「天安河原(あまのやすかわら)」は、神々が集まって相談したとされる神聖な洞窟です。 - 高千穂あまてらす鉄道
(神社から車で約5分)
廃線となった旧高千穂鉄道の線路を走る「スーパーカート」が人気。特に高千穂鉄橋(水面からの高さ105m)からの絶景はスリル満点です。 - 高千穂牛レストラン 和(なごみ)
(神社から徒歩約5分)
JA直営の人気レストラン。厳しい基準をクリアした「高千穂牛」のステーキや焼肉をリーズナブルに味わえます。 - 千穂の家(ちほのいえ)
(神社から車で約5分)
高千穂峡の近くにある食事処。高千穂の郷土料理「かっぽ酒」やヤマメ料理、流しそうめん(夏季)が楽しめます。


